ざっきー

2023年10月30日6 分

現代のサイバーセキュリティ: EDRの役割とは?

ノート型パソコンやスマートフォン、タブレットをはじめとするエンドポイントが増え、リモートワークが常態化する今日のビジネス環境で、組織のセキュリティ戦略はますます重要になっています。この中で注目を浴びているのが「EDR (Endpoint Detection and Response)」です。今回は、なぜEDRが必要なのか、導入時に注意すべきポイントについて紹介します。

1. EDRとは?

EDRは「Endpoint Detection and Response」の略で、日本語では「エンドポイント検出応答」と呼ばれることもあります。EDRはエンドポイントデバイス上の脅威を検出、調査、そして対応するためのセキュリティソリューションです。EDRにより、組織は高度な脅威から自身を守ることが可能です。これまで主流であったアンチウイルスソフトが時代に合わせて進化したもの、と理解するのがシンプルです。

2. なぜEDRが必要なのか?

現代のデジタル時代において、サイバー攻撃は一層、巧妙かつ高度になってきています。伝統的なアンチウイルスソフトやファイアウォールは、基本的な保護をしてくれますが、先進的なマルウェアや目的を持った攻撃(APT: Advanced Persistent Threats)など、新たな脅威からの完全な保護を期待することは難しいのが現実です。

さらに、多くの組織がリモートワークを導入し、従業員が外部ネットワークから企業リソースへアクセスすることが増えたため、エンドポイントのセキュリティは一段と重要になりました。従業員のデバイスが攻撃の標的となる可能性が高まり、その結果、EDRの導入と運用が不可欠となってきています。

このような背景の中でEDRが登場し、その重要性が増しています。EDRは、組織のエンドポイントに対するサイバー攻撃をリアルタイムで検出、分析、そして対応する能力を持っています。複雑な攻撃パターンや未知の脅威にも迅速に対応することができ、これにより、組織は潜在的な被害を最小限に抑えることが可能になります。

3. EDRの主な機能

昨今、より多機能なEDR製品も登場していますが、ここではEDRとしての主要な機能を紹介します。

  • リアルタイム検出機能:
     
    最新の脅威や未知のマルウェアをリアルタイムで検出する能力がEDRの中核です。従来のシグネチャベースのセキュリティソリューションとは異なり、EDRはエンドポイントの動作や通信パターンを分析することで、潜在的な脅威を特定します。
     

  • 応答機能:
     
    検出された脅威に対して、自動的あるいは手動で迅速に対応することが可能です。これには、不正なプロセスの終了やマルウェアの隔離、影響を受けたファイルの回復などが含まれます。
     

  • フォレンジック機能:
     
    EDRは攻撃の原因や手口を追跡・分析することができ、これにより事後分析や将来の予防策の策定に役立てることができます。この機能は、インシデントの根本原因を理解し、同様の脅威から身を守るために不可欠です。
     

  • 統合・連携機能:
     
    多くのEDRソリューションは、他のセキュリティツールや情報源との統合が可能です。これにより、複数のセキュリティソリューションを一元管理し、全体的なセキュリティの強化を図ることができます。

4. EDRを導入するメリット

先進的なサイバーセキュリティソリューションであるEDRを導入すると、以下のメリットがあります:

  • 先進的な脅威の検出:
     
    従来のシグネチャベースの防御手段とは異なり、EDRは行動ベースの分析を利用して、未知のマルウェアや日々進化するサイバー攻撃をリアルタイムで検出することができます。
     

  • 事後対応の迅速化:
     
    EDRが提供するフォレンジック機能により、インシデント発生時の迅速な原因究明や影響範囲の把握が可能となります。これにより、必要な対応を速やかに実施し、業務のダウンタイムを最小限に抑えることができます。
     

  • 全体的なセキュリティポスチャの向上:
     
    EDRの統合・連携機能により、他のセキュリティツールやプラットフォームとの情報共有が可能となり、全体的なセキュリティの強化と一貫性のある対応が可能です。
     

  • コンプライアンス要件の満足:
     
    多くの規制や業界基準には、データ保護に関する厳格な要件があります。EDRの導入により、これらの要件に適合することが容易になり、監査や検証時に安心できる環境を提供します。
     

  • ユーザーエクスペリエンスの向上:
     
    EDRソリューションは、従来のセキュリティソフトウェアと比較してシステムへの負荷が少ないため、エンドユーザーの作業効率やパフォーマンスに悪影響を及ぼすことなく、強固なセキュリティを維持することができます。

5. EDRの導入を検討する際のポイント

EDRの導入にあたっては、以下のポイントを検討すると良いでしょう。

  • 既存のセキュリティ対策との連携:
     
    EDRが、他のセキュリティツールやプラットフォームと統合可能か確認しましょう。これにより、一貫したセキュリティポスチャの維持と効率的なインシデント対応が期待できます。例えば、EDRからの情報をSIEMにフィードしたり、EDRがエンドポイントで検出した脅威情報をファイアウォールやIPS(侵入防止システム)と共有したりといった連携が可能です。
     

  • サポート体制:
     
    導入後のサポートやトレーニングの体制を確認しましょう。特に、初めてEDRを導入する場合、サポートの品質や迅速性は極めて重要です。
     

  • コスト効率:
     
    初期導入費用だけでなく、運用コストも考慮し、トータルでのコスト効率を評価することが必要です。運用コストには、システムのアップデート、トレーニング、サポート契約の更新費用などを含めましょう。マネージドサービスを利用する場合は、サービス費用が含まれます。また、人的リソースの削減やリスク軽減による経済効果も考慮できるとEDRの導入要否が具体的に評価できるでしょう。

これらのポイントを考慮し、組織のニーズや要件に合ったEDRソリューションを選択することで、効果的なセキュリティ対策を実現することができます。

6. まとめ

近年、サイバーセキュリティの脅威は日々進化し続けています。これに対応するためには、伝統的なセキュリティツールだけでなく、現代の複雑な攻撃を検出・対応するための先進的な手法が求められます。EDRは、組織のセキュリティ体制を強化し、これらの高度な脅威に立ち向かうための有効なツールとなるでしょう。

一方で、EDRの導入や運用では、その特性を理解し、適切に活用することが不可欠です。正しいソリューションの選定や導入の手引き、運用のノウハウなど、多くの点で専門的な知識と経験が必要になります。

IIJ Americaでは、組織のセキュリティ要件に即したEDRの導入支援や運用サポートを提供しています。もし、EDRの導入を検討している、またはすでに導入しているが最大限の効果を得るための運用アドバイスが欲しい、という場合は、いつでもお気軽にWebフォームからお問合せください。

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