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メール詐欺を防ぐ!SPF、DKIM、DMARCでできるセキュリティ対策


メールは、ビジネスコミュニケーションにおいて最も重要な手段の一つですが、同時にセキュリティのリスクも伴います。特に、フィッシングメールなどの詐欺手法は、企業や個人に深刻な被害をもたらすことがあります。前回の記事では、フィッシングメールの脅威とその対策について詳しく説明しましたが、今回はメール詐欺への対策として、SPF、DKIM、DMARCといった送信ドメイン認証の技術について紹介します。


これらの技術は、フィッシングメールのリスクを低減するだけでなく、メールの信頼性を高め、ブランドの保護にも寄与します。技術的な内容が含まれるため、ITに不慣れな方にとっては難解に感じられるかもしれません。この記事では、これらの技術を初心者でも理解できるようにわかりやすく説明し、どのようにしてメール詐欺を防ぐのかを詳しく見ていきます。


メールセキュリティの基礎

メールが送受信される基本プロセスとセキュリティの役割

まず、メールがどのように送受信されるか、その基本的な流れを大まかに整理しましょう。メールを送信すると、メールは送信者のメールサーバーから受信者のメールサーバーに渡され、最終的に受信者の受信トレイに届きます。この過程で、メールの送信元が本当に信頼できるものかを確認するドメイン認証の仕組み。これが、SPF、DKIM、DMARCといったセキュリティ技術の役割です。


メール詐欺の一般的な手口

フィッシングメールの一例として、信頼できる組織や個人を装って送信されるケースがあります。受信者に偽のリンクをクリックさせたり、偽のウェブサイトに個人情報を入力させたりすることで、情報を盗むのが主な手口です。これに加えて、スプーフィングという手口もあります。スプーフィングでは、攻撃者が送信者のアドレスを偽装し、正規のメールと見せかけることによって、受信者を欺こうとします。


なぜSPF、DKIM、DMARCが重要なのか

SPF(Sender Policy Framework)、DKIM(DomainKeys Identified Mail)、DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)は、こうしたメール詐欺を防ぐために開発された技術です。それぞれの技術は、メールの送信元の正当性を確認し、不正なメールが受信者の受信トレイに届かないようにします。それぞれ詳しく見ていきましょう。


SPF(Sender Policy Framework)とは?

SPF(Sender Policy Framework)は、送信元のメールサーバーが正当なものであるかを確認するための技術です。この技術を使用することで、スパムメールやフィッシングメールが送信者を偽装して送信されるのを防ぐことができます。


SPFの基本概念

SPFは、ドメイン所有者が許可するIPアドレスのリストを定義するためにDNSレコードを使用します。受信側のメールサーバーは、送信されたメールのIPアドレスがこのリストに含まれているかどうかを確認します。もし含まれていない場合、そのメールはスパムまたは詐欺メールとして処理される可能性があります。


例えば、あなたの企業が「example.com」というドメインを所有している場合、SPFレコードに「このドメインから送信されるメールは、以下のIPアドレスからのみ送信される」と定義します。これにより、他のIPアドレスから送信されたメールはブロックされるか、警告が発せられます。


SPFの設定方法とベストプラクティス

SPFの設定は、DNSレコードに「TXT」レコードを追加することで行います。以下のような形式で記述します:

v=spf1 ip4:192.0.2.0/24 include:_spf.example.com -all
  • v=spf1: SPFバージョンを指定します。

  • ip4:192.0.2.0/24: 許可されたIPアドレス範囲を指定します。

  • include:_spf.example.com: 他のドメインに対するSPFルールを適用する場合に使用します。

  • -all: ここに含まれていないIPアドレスからのメールをすべて拒否することを指示します。


ベストプラクティスとしては、SPFレコードを慎重に設定し、信頼できるIPアドレスのみを許可することが重要です。また、SPFの検証は「ヘッダーフロム」(From:)に基づいて行われるため、これを理解した上で適切な設定を行うことが求められます。


DKIM(DomainKeys Identified Mail)とは?

DKIM(DomainKeys Identified Mail)は、送信者がメールの正当性を証明し、受信者がその内容が改ざんされていないことを確認できる技術です。これにより、フィッシングメールやスパムメールのリスクをさらに軽減できます。


DKIMの基本概念

DKIMは、送信メールにデジタル署名を追加することで動作します。このデジタル署名は、送信元のドメインに関連付けられた暗号化キーによって生成されます。受信側のメールサーバーは、公開鍵を使用してこの署名を検証し、メールが改ざんされていないことを確認します。


たとえば、企業が「example.com」というドメインを使用している場合、メールに署名を付けることで、そのメールが本当に「example.com」から送信されたものであることを証明します。これにより、受信者はそのメールの信頼性を確認でき、不正なメールがフィルタリングされます。


DKIMの設定方法とベストプラクティス

DKIMの設定には、送信メールサーバーでの署名の有効化と、DNSに公開鍵を設定する必要があります。以下は、DNSに設定する「TXT」レコードの例です:

default._domainkey.example.com  IN  TXT  "v=DKIM1; k=rsa; p=MIGf...base64encodedpublickey...AB"
  • v=DKIM1: DKIMのバージョンを指定します。

  • k=rsa: 使用する暗号化アルゴリズム(RSA)を指定します。

  • p=...: 公開鍵を設定します。


ベストプラクティスとしては、DKIM署名のキーを定期的に更新すること、署名をすべての送信メールに適用することが推奨されます。また、署名の長さや暗号化の強度も重要です。より長く、強力なキーを使用することで、セキュリティが向上します。


DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance)とは?

DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance)は、メール認証技術の中で最も包括的なセキュリティプロトコルです。DMARCは、SPFやDKIMと連携し、メール送信元のドメインを保護することで、なりすましやフィッシング攻撃から企業や個人を守ります。さらに、DMARCは受信側のメールサーバーに、認証に失敗したメールの処理方法を指示し、詳細なレポートを提供することで、セキュリティの監視と改善を支援します。


DMARCの基本概念

DMARCは、SPFやDKIMが適切に設定されていることを前提に、その認証結果に基づいてメールの処理ポリシーを定義します。SPFのみでもDMARCの設定を実装することは可能ですが、DMARCがSPFとDKIMの両方を確認することで、メールの信頼性を確保し、不正なメールが受信者に届くリスクを大幅に減らすことができます。


たとえば、企業が「example.com」というドメインを使用している場合、DMARCはこのドメインから送信されるメールに対して「SPFまたはDKIMの認証が成功しなかった場合はメールを拒否する」というポリシーを設定することができます。また、DMARCは認証に失敗したメールの情報を管理者に報告し、今後のセキュリティ対策に役立てることができます。


DMARCの設定方法とポリシーの選択

DMARCは、DNSに「TXT」レコードを追加することで設定します。基本的なDMARCレコードの例は以下の通りです:

v=DMARC1; p=quarantine; rua=mailto:dmarc-reports@example.com; ruf=mailto:forensic-reports@example.com; pct=100;
  • v=DMARC1: DMARCのバージョンを指定します。

  • p=quarantine: 認証に失敗したメールを隔離(quarantine)するポリシーを指定します。他にも「none(無視)」や「reject(拒否)」というポリシーがあります。

  • rua=mailto

    @example.com: 認証結果レポートの送信先を指定します。

  • ruf=mailto

    @example.com: 詳細なフォレンジックレポートの送信先を指定します。

  • pct=100: DMARCポリシーを適用するメールの割合を指定します(この例では100%のメールに適用)。


DMARCのポリシーを選択する際は、まず「none」で設定し、レポートを監視して誤検出がないか確認するのが一般的です。問題がなければ、段階的に「quarantine」や「reject」に移行することで、セキュリティを強化します。




SPF、DKIM、DMARCの導入による効果

SPF、DKIM、DMARCを導入することで、メールセキュリティは向上します。ここからはこれらの技術が具体的にどのように企業や個人を守り、メール詐欺のリスクを軽減するか見ていきましょう。


メール詐欺の防止と信頼性の向上

SPF、DKIM、DMARCを適切に設定することで、スプーフィングやフィッシング攻撃を大幅に減少させることができます。これらの技術は、メールの送信元が正当であることを証明し、認証に失敗したメールが受信者に届く前にフィルタリングされるため、詐欺メールのリスクが大幅に低減されます。


例えば、ある企業がこれらの技術を導入した結果、フィッシングメールによる被害が年間で50%以上減少した事例があります。このような結果は、企業の信頼性を高め、顧客やパートナーからの信頼を維持するために非常に重要です。


ブランドの保護

なりすましメールは、企業のブランドに深刻なダメージを与える可能性があります。特に、大手企業や著名なブランドが攻撃の対象になることが多く、ブランドイメージの低下や顧客離れを引き起こします。しかし、SPF、DKIM、DMARCを導入することで、こうしたなりすましメールを防ぎ、ブランドの信頼性を守ることができます。


コスト削減とビジネスの効率化

メール詐欺による損害は、直接的な金銭的被害だけでなく、顧客対応やシステム復旧にかかるコストも大きくなります。SPF、DKIM、DMARCを導入することで、これらのリスクを未然に防ぎ、セキュリティ対策にかかるコストを削減することができます。また、これらの技術が導入された環境では、受信者側も正規のメールとスパムを容易に区別できるため、業務効率が向上します。


これらの技術を導入することにより、企業はセキュリティを強化しつつ、ビジネス運用の効率を高め、コスト削減にもつなげることが可能です。


まとめ

メールセキュリティは、現代のビジネス環境において非常に重要です。特に、フィッシングやなりすましメールのリスクが増加する中で、SPF、DKIM、DMARCといった技術の導入は不可欠です。これらの技術は、メールの送信元の正当性を確認し、改ざんの有無を検証することで、企業のブランドを保護し、顧客やパートナーからの信頼を維持する役割を果たします。


IIJ Americaでは、SPF、DKIM、DMARC(送信ドメイン認証)に対応しているメールセキュリティサービスのセキュアMXの提供や送信ドメイン認証の設定導入支援が可能です。これらの技術を正しく実装することで、メールセキュリティを強化し、ビジネスの信頼性を向上させることができます。もし、導入に関してお悩みやご質問がありましたら、ぜひお気軽にお問合せフォームよりご相談ください。

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