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  • 執筆者の写真ざっきー

セキュリティオペレーションセンター(SOC): 21世紀のサイバーセキュリティ戦略



サイバーセキュリティ対策(情報の機密性、完全性、可用性を確保すること)は、現代のビジネスにおいて避けられない重要な課題です。各セキュリティサービスベンダーや当局より報告されるレポートでは、セキュリティインシデントの被害額が年々大きくなり続けています。そこで、サイバー犯罪に対抗するために、この分野で急速に発展しているのが「セキュリティオペレーションセンター(SOC)」です。


SOCは、企業のサイバーセキュリティ対策の中心として機能し、日々進化する脅威からビジネスを守るための重要な役割を果たしています。本投稿では、SOCとは何か、どのような機能を持っているのか、導入にあたってチェックすべきポイントを紹介します。


SOCとは?


SOCは、企業の情報システムを監視し、セキュリティインシデントを検出、対応する専門チームと施設のことです。サイバーセキュリティ上のリスクをリアルタイムで分析し、必要な対策を講じることで、企業のデータや資産の保護を目指します。一般的に、SOCは情報システムに関連するすべての情報を扱うため、SOCに所属する人以外は入出できない特別なエリアで運用されたり、住所が公開されなかったりと、ほかの組織よりも強固なセキュリティ体制が敷かれるなかで運用されることが多いです。



SOCの主な機能


SOCは、サイバーセキュリティに関する様々な機能を持ちます。ここではその中でも主要な機能を紹介します。


1. 監視と警告: SOCは、企業のネットワークトラフィック、システムのログ、アプリケーションの動作などを継続的に監視します。この監視は、異常行動、不審なトラフィックのパターン、既知の攻撃動作などに基づいて行われます。監視システムで異常が検出されると、SOCチームは即座に対象となるイベントの重要度や緊急度を評価します。この迅速な監視システムとSOCチームの連携により、潜在的な脅威や脆弱性に対して、早期に対処することが可能です。


2. インシデント対応: セキュリティインシデントが発生すると、SOCチームが迅速に対応します。これには、攻撃への対処、感染したシステムやエンドポイントの隔離、脅威の除去などが含まれます。また、インシデントの影響範囲と原因を迅速に特定し、ビジネスへの影響を最小限に抑えるための対策を講じます。インシデント対応プロセスには、復旧計画の実行や、将来的な攻撃を防ぐための対策の調整も含まれます。


3. 脅威分析: SOCチームは、収集されたデータを基に脅威の分析を行います。この分析には、攻撃者の戦術、技術、手順(TTPs)の識別、新たな脅威や攻撃パターンの発見、セキュリティリスクの予測などが含まれます。脅威インテリジェンスや過去のインシデントから得られた知見を活用し、企業が将来的なセキュリティリスクにより効果的に対応できるようにします。


4. コンプライアンスとレポーティング: SOC及びSOCチームは、セキュリティに関連する法規制や業界基準の遵守を監視し、継続的なコンプライアンスに貢献します。また、組織のセキュリティ体制、インシデントの発生状況、コンプライアンスの順守状況に関する定期的なレポートを作成し、組織の上層部や関連するステークホルダーに提供します。これにより、組織のセキュリティ対策状況の可視性を保ち、必要な改善策がタイムリーに実施されます。




SOCの種類


SOCは、その運用方法や組織構成により、主に内部SOCと外部SOCの二つのタイプに分けられます。それぞれに独自の特徴と利点があり、企業の要件やリソースに応じて適切なモデルを選択することが重要です。


1. 内部SOC:

内部SOCは、企業内に設置されるセキュリティ専門部隊です。このモデルでは、専門のセキュリティスタッフが社内のリソースを使用して、組織内のネットワークとシステムを監視し、セキュリティインシデントに対応します。内部SOCの最大の利点は、企業独自の要件や文化に密着したカスタマイズが可能であることです。また、社内の情報に対する直接的なコントロールが可能であり、迅速な対応と詳細な分析が行えます。


2. 外部SOC:

外部SOCは、第三者の専門企業が提供するサービスです。これは、しばしばマネージドセキュリティサービスプロバイダー(MSSP)によって提供され、企業はSOCの運用に関わる複雑さやリソース確保の必要性から解放されます。外部SOCの利点は、設備投資や専門スタッフの採用が不要であること、そして幅広い業界の知識と経験を持つ専門家によるサポートを受けられることです。しかし、社外のサービスであるため、社内での直接的なコントロールは限られます。


内部SOCと外部SOCの選択は、企業のセキュリティ要件、予算、運用の柔軟性、内部リソースの可用性など、多くの要素に基づいて行われるべきです。ビジネスの特性やセキュリティ対策の目的に応じて、最適なSOCモデルを選択することが、効果的なサイバーセキュリティ戦略の鍵となります。



SOCの必要性


SOCは、その高度な監視と対応能力により、企業をサイバー攻撃から守る重要な役割を果たします。SOCサービスの導入と運用には一般的に、高額な費用がかかります。しかし、その投資価値は、組織の規模に関わらず高い場合がほとんどです。


大規模な企業では、広範囲なITインフラと膨大なデータ量を効果的に保護するためにSOCが不可欠です。一方、中規模や小規模の組織でも、SOCサービスは重要な機能を提供します。特に、リソースが限られる中小規模組織にとって、外部のSOCサービスを利用することは、高度なセキュリティ対策を比較的手頃なコストで実現する有効な手段です。これにより、企業はリアルタイムの脅威検出、インシデント対応、脅威分析、コンプライアンスの維持が可能となり、ビジネスの存続と成長を守ることができます。


たとえ投資費用が高額であっても、サイバー攻撃によって被った損失と比較すれば、SOCサービスの導入は長期的に見てコスト削減につながることが多くあります。サイバーセキュリティインシデントによる平均的な損失は膨大であり、一度の攻撃で企業の財務状況や評判に深刻なダメージを与える可能性があります。そのため、事前のアセスメントは必要ではあるものの、SOCサービスの導入はどの規模の組織にも現代のサイバーセキュリティの脅威に対抗するために必要な選択です。SOCサービスを利用して、ビジネスの継続性を保ち、将来的な成長の基盤を強化することが推奨されます。



SOCの導入にあたって


SOCの導入は企業のサイバーセキュリティ戦略における重要な一歩です。導入を成功させるためには、以下のような検討ポイントを考慮するとよいでしょう。


1. ニーズの評価: 各企業にはそれぞれ固有のセキュリティ要件があります。例えば、大企業では広範なネットワークと多様なセキュリティニーズに対応するために内部SOCが適切かもしれませんが、中小企業ではリソースが限られているため、外部SOCサービスがより適している場合があります。また、業界特有のリスクや規制要件も、SOCサービスの形態を選択する際の重要な要因となります。自社に適した要件がどのようなものか、事前に把握することが必要です。


2. リソースの確保: SOCを効果的に運用するためには、適切な人材、技術、プロセスが必要です。このため、専門的なセキュリティスキルを持つ人材の採用や育成、適切なセキュリティ技術の導入、効率的なセキュリティプロセスの確立が求められます。特に、リアルタイムの脅威検出や迅速なインシデント対応を行うためには、高度な技術力と経験が求められます。


3. コストとROIの検討: SOCの導入は、初期投資だけでなく長期的な運用コストも伴います。これには、人材コスト、システム基盤の維持費用、定期的なアップデートやトレーニングの費用が含まれます。

また、SOCによるセキュリティ強化がもたらすプラスのリターンを考慮することも重要です。例えば、インシデントによるダウンタイムの削減、データ侵害に対応するコストの回避、顧客の信頼度向上など、SOCの導入がもたらすポジティブな影響にも目を向けて評価しましょう。


これらの要素を総合的に検討し、企業のニーズ、リソース、予算に最適なSOCの導入戦略を策定することが、サイバーセキュリティ体制を強化する上で重要となります。



まとめ


サイバーセキュリティの脅威に対応する上で、セキュリティオペレーションセンター(SOC)の重要性は非常に高く、その適切な導入と運用は、企業のセキュリティ耐性を大きく強化します。しかし、SOCの導入は複雑であり、多くの組織にとっては挑戦的なプロジェクトとなり得ます。IIJ AmericaではSOC導入のコンサルティングやセキュリティアセスメントのサポートを提供しています。


SOCの導入を検討中、または既存のセキュリティ対策の見直しに興味があれば、弊社の専門チームにご相談いただくことで、ビジネスに最適なセキュリティ戦略を策定し、実現への道筋を明確にすることができます。IIJ Americaはセキュリティの複雑な課題に対し、適切なアドバイスと実践的なソリューションを提供します!


ビジネスの安全と繁栄を支える強固なセキュリティ体制の構築に向けて、一緒に取り組みましょう。サイバーセキュリティに課題をお持ちでしたら、いつでもお気軽にWebフォームからお問合せください。

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